私たちについて

臨床評価の開発

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室が開発、もしくは日本語版の作成に関わった臨床評価法をご紹介いたします。

(1)SIAS

SIASとは、Stroke Impairment Assessment Set(脳卒中機能障害評価法)で、脳卒中の機能障害を定量化するための総合評価セットです。 9種類の機能障害に分類される22項目からなり、各項目とも3あるいは5点満点で評価します。

(2)FIM 第3版日本語版

Functional Independence Measure(FIM)は、身の回りの必要最低限な活動(ADL: Activity of Daily Living)の評価尺度です。運動項目13,認知項目5を7点満点で評価します。
当教室では、FIMの開発元であるUniform Data System for Medical Rehabilitationと密接に協力し、FIM第3版 日本語版を作成いたしました。FIM version 3.0 日本語版は、単なる翻訳に止まらず、我が国の社会文化的背景を考慮し、独自のデータも用いながら特異的な解釈を加えて邦訳された、信頼性と妥当性の確立した評価尺度となっています。

(3)jSCIMならびにjSCIM-SR

脊髄損傷患者の日常生活自立度(ADL)を評価するために、脊髄障害自立度評価法(SCIM-III)が広く利用されています。SCIM-IIIは3領域(セルフケア、呼吸・排泄、移動)にわたる19項目、100点満点で、入院患者を医療従事者が観察することで評価する方法です。SCIM-IIIはイスラエルで開発され、日本語版である jSCIM-III は国立病院機構村山医療センターと当教室で作成しました。
さらに外来での評価のため、患者さん自身による自己評価を可能にするSCIM-SRがスイスで開発されましたが、そのjSCIM-SR日本語版も同様に作成しました。

(4)cFAS

Cancer Functional Assessment Set (cFAS)はがん患者さんに特化した身体機能評価スケールで、24項目について3あるいは5点満点で評価します。
障害されている身体機能の把握、患者さん自身やご家族、医療者との共通理解、安全で効果的なリハビリテーションプログラムの立案、詳細な効果判定、それに基づくプログラムの再立案(軌道修正)を可能にします。

(5)NdSSS

神経・筋疾患摂食嚥下状況スケール(NdSSS)は、神経難病の患者さんが、障害の進行とともに徐々に食べられるものが制限される過程に加え、濃厚流動液などを補助栄養として経口摂取する特徴や、末期には唾液嚥下も不可能になる特徴などを反映させた評価を行う簡便な指標です。

(6)Japanese version of Edmonton Functional Assessment Tool 2 (EFAT2-J)

終末期のがん患者さんに適切なリハビリテーションを実施すためには、患者さんの実際の身体機能の状態やセルフケア能力を評価する必要があります。Edmonton Functional Assessment Tool 2(EFAT-2)は、2001年にカナダで開発された終末期のがん患者さんに特化した身体機能の評価指標です。10項目の質問とパフォーマンスステータスで構成されており、各項目とも3点満点で評価します。当教室では原著者および編集者の承諾を得た上でEFAT-2日本語版(EFAT2-J)を作成し、その尺度特性である信頼性と妥当性、解釈可能性について学術誌で報告しました。