地元でローテートしたリハ科が全てのきっかけ

そもそも元からリハ科に興味があったわけではありませんでした。『リハ医どう?性格的にも合っていると思うよ。』田舎で一般内科医をしている母から言われた言葉です。普段の会話の中で言われた言葉だったかと思いますが、その時から何となくリハビリ科について意識するようになりました。 その影響もあり、地元の大学病院で研修医として働いているときに、選択で1ヶ月間リハ科をローテートすることにしました。その時は今後専攻する科や入局先を探すというよりは、入院している患者さんは実際にどんなリハビリをしているんだろうか? というごくごく単純な興味だけで研修をしていました。1ヶ月はあっという間でしたが、そのとき
の、患者さんの笑顔・意欲を引き出すリハスタッフの技術・話術にすごいなーと思ったり、リハビリ室の明るい雰囲気がそれまでの他の科の研修環境とは違うなーと感じたことを覚えています。今思えば、あの1ヶ月が初めてリハ科を将来の専門科として具体的に考え出した時期だったのかもしれません。 研修医1年目の冬に慶應病院を見学し、それが縁で入局することになりました。慶應に入局することにした決め手は?とよく聞かれるのですが、『直感』です(笑)。強いて言うならば、見学の時に何となく惹かれるものがあったということでしょうか。みんな穏やかな先生ばかりで、溶け込みやすい雰囲気があったことは事実です。

バックグラウンド、働き方は多様。大所帯の強みは「いつでも相談できる」

実際に入局してみて、まずリハ医が多いことに驚きました。そしてみんな背景もそれぞれです。出身地もばらばら、女医さんも多く、家庭と仕事を両立されてる先生も多く、本当に凄いなあと思います。育メン先生もいらっしゃいますし、最先端の研究をしてるけれど何でも優しく教えてくれる先生、転科されてきた先生、起業家志向の同期(笑)…と色んなドクターが同じ空間にいるのがとても面白いです。  たくさんのリハ医が身近にいますから、普段の他愛もない会話が、入局してしばらく経ってはいますが、今でも新鮮で楽しいです。なかなかいないリハ医が普通にたくさんいて、気軽に触れ合えて、そして相談に乗ってもらえる環境、多くの同年代のリ
ハ医と一緒に働ける環境というのは決してどこでもある環境ではないと思いますから、その点に関してはとても恵まれているな、と常々感じています。 リハの知識はほぼゼロの状態で入局しましたが(大学時代、おそらく整形外科の講義の中で数時間、講義を聞いた記憶はあるのですが…)、その点は入局する時は心配でした。周りの人についていけるのかな…?と。結論から言えば、心配しなくても大丈夫でした。同期はみんなほぼリハ知識ゼロでした(笑)。入局してすぐにスタッフの先生から新人専修医向けのクルズスがいっぱいありましたし、先輩の先生はいつもたくさん側にいてくれますので、すぐに質問できる環境がありました。

名前じゃなくて中身だから。一度来て雰囲気を感じて。

慶應リハには全国各地から、以前の私のような地方大学出身の研修医の先生方が頻繁に見学にいらっしゃいます。その際色々とお話することもあるのですが、驚いているのが『慶應』というwordの不思議なパワー。『慶應』『医局』に馴染めないのではないかと思っていらっしゃる先生方が多いことです。 医局の慶應以外の出身の先生方にもお聞きしましたが、やはりそのような印象を持っておられた先生も多かったようです。(正直私はそんな発想すらありませんでしたが(笑))
興味はあるけれど、少し抵抗があるなと感じていらっしゃる方は、一度、見学にいらっしゃったらいいのではないかなと思います。丸1日もあれば、何となく医局の雰囲気も分かるのではないでしょうか?先生もみなさん穏やかで、怖い先生もいませんよ(笑)。 私は、研修医時代に2日間(1日目回復期関連病院、2日目慶應病院)見学にきました。その時感じた雰囲気も慶應リハに決めた一つの理由です。
今は、専門医をとることが直近の現実的な目標です。リハに従事して3年で受験資格をもらえるため、今年が専門医受験資格をもらえる年になります。まずは、症例レポートを作成しなければなりません。頑張ります。 各分野毎にできるだけ万遍なくレポートを提出し、筆記試験と口頭試問で審査されます。慶應リハで専修医になった場合は多くは1−2年毎に勤務先が変わります(あくまで希望に応じてですが)。私は
専修医1年目が大学病院、2年目・3年目は国立病院機構東埼玉病院で勤務し、4年目の現在は東京湾岸リハビリテーション病院で勤務しています。現在、専修医が勤務するであろう関連病院は慶應大学(東京信濃町)を中心に約1時間で移動できる範囲にあります。関連病院が多く、様々な症例を経験することができることも、慶應にきてよかったなと思う点です。

リハ的視点を持った人が少しでも増えてほしい

実際東京に住んではいるのですが、後期研修で上京するまで東京に縁がなかったため、1年目のときは結構地元に帰っていました。1−2ヶ月に1回くらいでしょうか。今では、同期や近い年代のレジデントだけでなく、こちらで友人も増え、楽しく過ごしています。(一緒に働くスタッフが多いこともリハ科の魅力ですね。)   地元に帰って大学時代・研修医時代の知り合いと会話をする中で、まだまだリハ科の中身が知られていないことにもどかしさを感じることが多いです。普段リハ医が当たり前にたくさんいる環境で働いているため忘れがちですが、きっと日本全国みてみる
と、まだまだリハ的な視点(生活をみる、病気だけではなく実際の行動をみる、いろんな手段を使ってできる動作を増やすなどなど)が広まっていないところも多いのではないか?と思うわけです。もっと リハ的な視点が広まってほしい、そうすれば患者さんの希望はもっと叶えられるかもしれないし、今よりもhappyになれるはずです! 『リハ的視点を持った人が少しでも増えてほしい』 長期的なことについては、まだ考え中ですし、まだまだひよっこの私ですが、リハを広める一助となれるように知識・経験を深めていけたらと、今考えています。

山田 祐歌

熊本大学卒
2014年度入局 慶應義塾大学病院
2015年 国立病院機構東埼玉病院
2017年 東京湾岸リハビリテーション病院

熊本生まれ熊本育ちの超元気っ子。一度笑えばみんなに元気が波及して行きます。笑顔の科、リハビリ科。ポジティブな科、リハビリ科。まさにリハビリ科を体現する太陽のDrとして回復期リハビリテーション病院で患者さんのみならずコメディカル、ドクターまでもを元気にしてくれています。